短篇集。
・「LA SCORTA(ラ・スコールタ)」
訳すると、エスコート。
メディア王のジーノ・カッラーロから届いたボディガード。経済学者のヴィットーリオ・コンティは、経済誌の連載で脅迫されているのだが、アルマンド・バガーニが担当する時だけ、深夜に映画を観に行く。
・「Gino e Vittrio(ジーノとヴィットーリオ)」
ジーノとヴィットーリオの、ふたりの喧嘩を楽しむ周囲の人々の生暖かい目線。
・「amato amaro(アマート・アマーロ)」
週一で、ローマからボローニャにアルマンドを呼びつけるヴィットーリオ。お互いの本音の手探り。
・「bandoliera(バンドリエラ)」
弾薬帯の意味。
弾薬入れに、大事なものを入れる。その本音は……。同居している男たちの日々の切り取り。
・「differenza(ディッフェレンツァ)」
意味は、違い。
双子のマウロとパオロ。パオロの結婚式に、マウロは男の恋人を連れて帰郷する。
・「tatuaggio(タトゥアッジィオ)」
入墨。
好きな男のアレッシオが日本好きで、自分を置いて日本に行ってしまう。
アレッシオの紹介で入墨を入れる決心をするが、そこの入墨師と話しながら、想いを馳せる。
・「partita(パルティータ)」
ゲームの意味。ショート。
テレビが壊れた男が、隣りのビルの部屋のテレビを窓越しに観る話。
・「GELATERIA DI MARCELLO(ジェラテリーア・ディ・マルチェッロ)」
マルチェッロのジェラートで癒される男たちのそれぞれの事情。
・「カッラーロの秘書」
ファウスト・カッラーロの娘に振り回される秘書。
表題の意味は、「愛しい程の苦み」。
英語にすると、「beloved bitter」で、こちらもゴロが良い。
前作「クマとインテリ-orso e intellettuale-」と繋がっている話が多い。
ジーノの兄が、元首相のファウスト・カッラーロ。
表情が良い。
この作品も面白い。
ジーノとヴィットーリオの喧嘩の話は、唸った。よくこんなの描けると思う。
ローマとボローニャの距離って、東京から大阪くらい。
「partita」は、この感覚、外国の生活を経験してないとピンとこないと思った。
昔、NYでちょこっと生活していた頃のこと、憶いだした。
最近、話題になっているオノ・ナツメの別名義。
一般作品も良いけど、やっぱ、BLを描き続けて欲しいと思ってしまう。
このジャンルだからこそ、じっくり描けることがあるんじゃないか、最近、そんなことを考えるのだ。
まさに、それを感じさせるのが、この作家さん。
BLもまたどうか描いてください。
2008/12、2009/5/06感想
《こんなふうにおススメ》
「切な懐かしい」そんな言葉が合いそうな作家さん。
ほんとに好きです。
ラベル:BASSO
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