2009年05月09日

窮鼠はチーズの夢を見る+憂鬱バタフライ+梟+俎上の鯉は二度跳ねる(完)

【窮鼠はチーズの夢を見る】【憂鬱バタフライ】
【梟】【俎上の鯉は二度跳ねる】 /水城 せとな

01 窮鼠はチーズの夢を見る

大伴恭一は、大学時代の後輩で、今は興信所の調査員の今ヶ瀬渉に強請られる。恭一の妻が偶然にも、今ヶ瀬の会社に恭一の浮気調査を依頼したのだ。今ヶ瀬は大学時代から恭一に惚れていた。

やばい、うまい。侮っていた。しまった。水城せとな、すごすぎ。
少女漫画でもちゃんとしているのに。あ、ちゃんとしているからか。

まず、主体の視線が動かないことが特徴的。恭一視線だと、こういう作品って難しく話を運びにくいのに、どっぷりそこの心情が描かれていて、なおかつ人称が入れ替わらない。
だからこそその分、今ヶ瀬の執着ぶりが際立っていく。これを今ヶ瀬の目線で書いたら、ちょっと猟奇チックになったかもしれない。
それをあえて恭一で普通のストレートの葛藤として描いた。
このストーリーメイクが大きいと感じる。

一線を越えたあとの恭一の目がすごかった。
こんなの、描けない。
なんだか強烈すぎて、感想が書けない。こんなのもはじめて。
                         2008/4/13

02 憂鬱バタフライ(『窮鼠はチーズの夢を見る』番外編)

『窮鼠はチーズの夢を見る』の番外編。
二人が一緒にいることが日常になり始めるが、それでも恭一には迷いもあり、今ヶ瀬には不安が残る。

相変わらずすごい。ぞくぞくする。完全に持っていかれている。
うまいなあ、特に”感覚”の表現。これは本編にも見られた。感覚感を言葉にしていくのが感動する。
コアラの例えも秀逸だった。
今ヶ瀬って強引だけど、実はMのヘタレ攻めだったのか! 意外だけど納得。
                         2008/4/13

《こんなふうにおススメ》
BL嫌いな人にも、これ、おススメしています。すごい作品だと思いました。
番外編はまだコミックス化されていなくて、雑誌を見せてもらいました。これも震えてしまうくらい面白かった。是非、続編、描いていただきたいです。

03 梟(『窮鼠はチーズの夢を見る』『憂鬱バタフライ』続編)

「窮鼠はチーズの夢を見る」「憂鬱バタフライ」の続編。
大伴恭一と今ヶ瀬渉の生活……それが自然になっていく。しかし、今ヶ瀬は追い詰められていって。恭一にも変化が生まれる。
常務の急死、岡村たまきの存在……そこで二人は結論を出す。

どーしても読みたくて、とうとう携帯漫画に手を出してしまった。
感想ブログを書いている人が、衝撃のコメントを出していたから。それに負けました。

この作品、私の中のBLコミックNo.1だと思う。
BL的お約束事も見事に吹っ飛ばしてくれるし、よくできているよなー。

なんでこんなに心情豊かに描くんだろう。ラスト、泣けました。
次で、このシリーズは最後だそうです。読みたいけど終わって欲しくない。
とっても微妙なキモチ。
                         2008/11/28UP

04 俎上の鯉は二度跳ねる(『窮鼠はチーズの夢を見る』『憂鬱バタフライ』『梟』続編)

お互いに自分を追い詰めた、大伴恭一と今ヶ瀬渉は別れを選択する。
恭一はぽっかり開いた虚無感が大きいのに自ら驚く。
それを埋めるように、たまきと付き合い出し二人は結婚を視野に入れ出す。
ストーカー狙われたたまきは、恭一に内緒で今ヶ瀬に調査を頼む。後日、たまきからその事実を聞かされた恭一は動揺するが……。
ストーカーに襲われたたまきを病院に運んだ今ヶ瀬と、恭一は半年ぶりに再会する。

小学館のモバフラにて、携帯配信された作品。
4ヶ月じゃないですかね、連載。長いよっ! もう。
これで、このシリーズは終了。

ここでの鯉は、ずっと恭一だと思っていたけど、全部読み終わって、これは今ヶ瀬のことだったのだとわかる。くー><、やられたっ!

再会してからの二人のやり取りの攻防戦が、この作品の見どころ。
それが長くて、しかも内容的にきつかったなー。
(ここの「戯れ言」で、何度愚痴ったか……)
読み続けた同志よ、お疲れさまでした。

この、BL界話題の作品を、いったいどう収めるのか、ホントにそこが興味の尽きないところだったけど、見事でした。
すごいな。私にはこれは絶対に書けないと思った。
収まりどころは良かったのではないでしょうか? 上手いなぁ。
登場人物、みんな“愛すべき”になったのがすごい。
水城せとなさんもお疲れさまでした、ですよね。

まだまだじっくり向き合って、もっとゆったり考えさせられたい。
それだけの価値がある作品と思える。
                         2009/4/20

UP追記>
「憂鬱バタフライ」から、その後はまとめて一冊になるんだと思います。
きっとそれもまた読むと思う。
携帯ではなく、見開き構成を楽しみたい。

ハッピーエンドなんでしょうね。
梟までは、「今ヶ瀬、良かったね」の気分だったけど、全部が終わると「二人とも良かったね」になれたのが、「俎上の」すごさ、だ。

読み終わっての虚脱感、読者にあるのもすごい。
                         2009/4/20UP

祝! 単行本発刊!>
仲良しのKちゃんが、昨日の発売日に合わせて、紀伊国屋に買いに行ったらしいです。しかも午前中に、ですよ。
ほぼ、売り切れ状態で、レジに並んでいらっしゃるお嬢様方、みなさま、こちらを持っていらしたとか……。
「もう完売かも。電話して聞いてから行った方が良いよ」と。
出遅れたっっっ? 無事にゲットできるのかっ?
amazonはすでに売り切れて、値上がり状態。オークションにも近々、高額でかかるのかも……。すごすぎる。ちなみに通常売価は、二冊1,000円でおつりがきます。
その、新装版の情報です。
窮鼠の方の描き下ろしは、「鼠、袋小路で考える」の4ページだそうです。
俎上は、「黒猫、あくびをする」。

上記を書いた後、渋谷で探しました。
もうね、紀伊国屋でゲットは諦めた。Kちゃんが、特典のペーパーはコピーしてくれると言うし、安全策を練ろうと。
ところがっ! 無いんですよっ!
俎上はなんとかまだ在庫はある。でも、窮鼠の方が。
たぶん、俎上のイニシャル部数の方が多かったんでしょう。それにしても、しかしっ!
こうなったら、なんとしても初版本を手に入れたい!
渋谷で、8軒回って、最後に一冊残っているのをやっと手にいれました。恐るべし人気です。
発売日翌日、16時の出来事でした。
                         2009/5/09

単行本新装版、追加部分描き下ろし/
改めて、全部読み直して気づく。
最初から、恭一は今ヶ瀬が好きだったんですね。

窮鼠「鼠、袋小路で考える」
恭一が、今ヶ瀬を家に置くようになって、楽だーと思ってしまう日々。それって後戻り出来ないところに行っているのでは? と悩む。
まあ、いかにドツボったか、なんですが、自業自得って感じです。

俎上の「黒猫、あくびをする」
今ヶ瀬は、恭一を眺めながら妄想する(しょっちゅうしている模様)。
自分が女だったら、どう尽くすか。結婚して、子ども産んで……どっちに似たら幸せなのか? その子どもの性格に悩んでしまう。
こんな今ヶ瀬もいるんだ、と、新鮮。

でも、やっぱり一番美味しいのは、後書きの後の1ページ。
年下と結婚した夏生と、今ヶ瀬のふたりのお食事会。すべてのストーリーのその後。
アホな主婦の会話の会食と変わらず。その不毛さに、夏生がため息、に爆笑できる。
「今ヶ瀬、イイ男だったのに、くだらない女に成り下がって」
いや〜、この1ページ読めただけでシアワセです、ってか、こんな男のために、読者はヤキモキしてたのかっ!(苦笑)
今ヶ瀬って、カシスオレンジなんて頼まない男だったと思う。そして、すべての語尾にハートなんて。

夏生が漢だ。いや、この物語に出てくる女はみんな、漢だ。知佳子さんでさえ、決めたら早かった。でも、実際はそういうもんかもしれない。
昔、渡辺淳一大先生もそんなこと、書いてた。



【新装版】


ラベル:水城せとな
posted by zakuro at 23:20| Comment(0) | 漫画-BL系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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